※当ブログの「漫画アシスタント」とは、在宅のデジタルアシスタントのことを意味します。
こんにちは、みけちくわ(@mike_chikuwa)です。
私は2018年から、漫画アシスタントのお仕事をさせていただいております。
「漫画アシスタントになろう」ブログ、第5記事目である今回は、「漫画アシスタントの今後について」です。まず、初回の記事「「漫画アシスタントになろう」の想定読者」のふり返りを「軽く」いたします。
漫画アシスタントとは
漫画の原稿が完成にいたるまでの作業の一部(背景、効果線、トーン貼りなど)を行う、第三者の有償スタッフのこと。
で、私みけちくわと似たような条件
- 漫画家になる道を「諦めかけている」方
- 漫画家になる道を「諦めて」、他のお仕事をしている方
- 二次創作の活動で、イラストや漫画を描いたことのある方
- 漫画が好きで、一度でも「漫画のようなもの」を描いたことがある方
を持つ方は、漫画アシスタントに求められる気質がおありなので、漫画アシスタントのお仕事を始めるのはいかがですか?週1でも需要があります!と提言する記事カテゴリーを立ち上げました。
以上の内容をふまえまして、ブログ記事を更新しています。
そして5記事目となる今回は「漫画アシスタントの今後について」です。
今回で最終回となります。
漫画アシスタントの今後について
新型コロナウイルスによる影響
2020年に入ってから「新型コロナウイルス(COVID19)」が私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。漫画業界では、緊急事態宣言が解除されるまでのあいだに単行本が発売された作品の連載継続が危ぶまれたり、一部の雑誌に刊行延期・休刊がありました。
【コロナによる緊急事態宣言下で、新人漫画家が単行本1巻を出した話】 pic.twitter.com/Ihrcioeqgi
— 恵口公生@キミオアライブ/PEYO@ボーイミーツマリア (@igo_eguchi) May 30, 2020
<別冊少年マガジン刊行について>
緊急事態宣言に伴い、
5月9日発売予定の6月号休刊を決定しました。
読者の皆様、大変申し訳ありません。
詳細は添付リリースをご確認ください。
編集部、作家、関係者一同、7月号(6月9日発売)刊行に向けて動いておりますので楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 pic.twitter.com/khzW8pcUo7— 別冊少年マガジン【公式】 (@BETSUMAGAnews) April 14, 2020
【ARIA休刊のお知らせ】ARIAは4月28日発売の6月号をもって休刊とさせていただきます。2010年に創刊してもうすぐ8年になりますが、素晴らしい漫画家の先生たちと女性漫画の枠をこえた様々な作品を生み出せたことは、編集部にとって本当に楽しいチャレンジでした。(続きます) pic.twitter.com/sNps2gAGVS
— ARIA編集部 (@ARIA_henshubu) April 27, 2018
また、「3密」となる「通い」の制作現場にも影響が出ました。
【『ゴルゴ13』新作掲載見合わせについて】
5/25発売号より当面の間、『ゴルゴ13』の新作掲載を見合わせることにいたしました。詳細は画像にてご確認ください。
※本日発売のビッグコミック10号には、第599話「臆病者は誰か?」後編が掲載されています。#ビッグコミック #ゴルゴ13 pic.twitter.com/0S9DFgZOO1
— ビッグコミック編集部 (@bigcomic_mg) May 8, 2020
【お知らせ】
ガンガンJOKER5月号『ヴァニタスの手記』は、休載とさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症流行を受けて、望月淳先生及び、通いになる作画スタッフの皆様の安全と健康を第一に考えてのことです。楽しみにされていた読者の皆様、申し訳ございません。
— ガンガンJOKER編集部【公式】 (@gangan_joker) April 2, 2020
通いでアナログ原稿の制作スタイルを貫く現場にとっては、試練が残る状況となりました。治療薬やワクチンの発見または開発、感染リスクを減らすためのウィルスとの正しい付き合い方が確立されていくことを切に望みます。
コロナ禍により収入が下がった場合は、持続化給付金を申請できます。事業を続けていくためには、政府による各種支援を見逃さないように、情報収集をすることが大切です。
持続化給付金ですが、申請から13日で無事200万円が振り込まれました!
これを原資に、アシスタント達へサポート給与を振り込んだり、原稿料の不足分を補ったりすることができました。結果アシスタントの離脱も無く、連載も普通に持続できそうです。まさに持続化給付金!https://t.co/CQWGFYVy4L— 赤松 健 (@KenAkamatsu) June 15, 2020
政府は様々なコロナ対策を策定。が、政府広報が縦割りかつ脆弱で正しい情報が伝わっていません。山田太郎事務所では各省庁に支援内容をヒアリング、ニーズに合った支援を探せるサイトを構築!実際の制度申請の経験なども書き込んで、皆さんに育ててもらうサイトにしていきますhttps://t.co/5cUG7Z9OGl
— 山田太郎 ⋈(参議院議員・全国比例) (@yamadataro43) April 6, 2020
技術革新による影響
在宅ワークの漫画アシスタントにとってはコロナ禍による影響はさほどありませんでしたが、私は今後の技術革新によって起こるであろう影響が深刻だと思っています。
「CLIP STUDIO ASSETS」の3D素材は日に日に充実していますし、写真を漫画風のタッチに加工する技術もそこそこのところまで来ている。いずれラフ画からワンクリックで背景を入れてしまうAIが登場するのではないか・・・という予測も容易に立てられます。そうなれば「作画スタッフ無し」の商業漫画作品は、今まで以上に増えることになります。
「制作資金がないからアシスタントは雇わない(=雇えない)」のではなく、「素材や加工で背景が作れるからアシスタントは雇わない(=必要ない)」に変わるということです。
「雇えない」が「必要ない」に変わる。「0:100」はないにしろ、時間が経過していくにつれ「必要ない」割合が高まり、自分自身への発注がなくなることを私は危惧しています。それが3年後なのか5年後なのか10年後なのか、わかりませんが。
漫画アシスタントのお仕事を続けていくためには、「背景を埋めてくれる人」以上の価値をもたなければなりません。現状の素材や加工では作れないものを生み出せることはもちろん、指示内容にはないけれどより良くするための提案力や、意外なところでは雑談力があることも重宝されます。
漫画アシスタントが「必要ない」とひんぱんに言われる時代になるまでには、まだ時間があります。必要としてくださる漫画家さんと出会っておくことも大切ですし、作画技術はAIでまかなえてしまう未来まで想定して、今自分ができることの洗い出しや、今後のために取り組んでおきたいことを頭の片隅で考えたり、準備しておくとよいでしょう。
一番危険なのは、目の前のお仕事だけに集中してしまう日々を過ごすことです。
どんなお仕事でもそうですが、未来を見通しながら今を考えれば、行動や思考がより洗練され、状況が良くなっていくと思います。
私も「稼ぎがゼロだった自分よりはマシ」という段階から抜け出なくてはなりません。
今後について不安に思うところはありますが、それは誰しも同じことなので、自分の可能性を総ざらいして、漫画アシスタントとしてだけでなく、クリエイターとして最善を選択していこうと思います。
最後に
以上で、5回にわたる『漫画アシスタントになろう』の記事連載を終了とさせていただきます。漫画に携わるお仕事として、何かひとつでも参考にしていただける情報を書けていましたら幸いです。
よろしければ何らかの形でご感想を伝えていただけると、自由時間の一部を捧げた甲斐があるので、ぜひお願いいたします(笑) お読みいただき、ありがとうございました!
2020年8月19日 みけちくわ
追記:2020年8月30日
当記事にてツイートを引用させていただいた漫画家・恵口公生先生が、8月19日にご逝去されました。謹んで恵口公生先生のご冥福をお祈りいたします。
漫画家 恵口公生先生が令和2年8月17日に緊急入院され、その2日後に逝去されました。先生のあまりにも早すぎる訃報に接し、深い悲しみを禁じえません。心よりご冥福をお祈りいたします。
読者の皆様には、これまでのご愛顧に深く感謝を申し上げると共に、謹んでご逝去のご報告を申し上げます。 pic.twitter.com/IDF6bysA4E— 【公式】恵口公生「キミオアライブ」 (@eguchi_tantou) August 29, 2020
漫画アシスタントのご依頼について
みけちくわへの漫画アシスタントのご依頼については、下記のページをご覧ください。
CM:「漫画アシスタント」について知るきっかけになる本(注:HARDモード)