※当ブログの「漫画アシスタント」とは、在宅のデジタルアシスタントのことを意味します。
こんにちは、みけちくわ(@mike_chikuwa)です。
私は2018年から、漫画アシスタントのお仕事をさせていただいております。
「漫画アシスタントになろう」ブログ、第3記事目である今回は、「漫画アシスタントの一日(みけちくわ編)、アシスタント料金設定の考え方(※あくまで一例)」についてです。
1つ1つについて分けて書くと知見の共有が遅くなるので、ある程度まとめて、さくさく行きたいと思います。
まず、初回の記事「「漫画アシスタントになろう」の想定読者」のふり返りを「軽く」いたします。
漫画アシスタントとは
漫画の原稿が完成にいたるまでの作業の一部(背景、効果線、トーン貼りなど)を行う、第三者の有償スタッフのこと。
で、私みけちくわと似たような条件
- 漫画家になる道を「諦めかけている」方
- 漫画家になる道を「諦めて」、他のお仕事をしている方
- 二次創作の活動で、イラストや漫画を描いたことのある方
- 漫画が好きで、一度でも「漫画のようなもの」を描いたことがある方
を持つ方は、漫画アシスタントに求められる気質がおありなので、漫画アシスタントのお仕事を始めるのはいかがですか?週1でも需要があります!と提言する記事カテゴリーを立ち上げました。
以上の内容をふまえまして、ブログ記事を更新しています。
そして3記事目となる今回は「漫画アシスタントの一日(みけちくわ編)、アシスタント料金設定の考え方(※あくまで一例)」について書いていきます。
漫画アシスタントの情報に明るくない方も対象にしていて、なるべくゼロベースからお話していくつもりでいるので(分からないところは質問してください。必要であれば記事に反映します)、ご存知のところは斜め読みしてください。
それでは、いってみましょう。
漫画アシスタントの一日(みけちくわ編)
- 朝:9時までには起床(早起きするかは疲労度によって変動)
- 午前中:10時から2時間仕事
- 昼休み:1時間半~2時間
- 午後:5時間程度仕事、アシスタント業務は終了。
- 夜:なし(自由時間)
平均仕事時間:7時間
平均睡眠時間:8時間
私は自宅で漫画アシスタントのお仕事をしているので、通勤時間や交通費がゼロという点が非常に気に入っています。1日のスケジュールは個人によって最適なリズムがありますから、参考程度にしてください。
1か月単位のスケジュール管理は、Googleカレンダーを使用して、漫画背景スキル紹介ページにて公開しています。
連日まとめて請け負っているところは、進捗具合を見ながら、2~3日に1日のタイミングで休日を入れています。
仮眠、睡眠、休日。この3つをしっかりとりながら仕事をしていくことが大切です。
休息をしっかりとらないと、体を壊してしまうこと以外に、生産性(作業スピードや、よりよい背景にするためのアイディア出し)が落ち、クオリティが保てなくなります。
ここぞという時(締め切り前とか)以外は、決して無理をしてはいけません。
アシスタント料金設定の考え方(※あくまで一例)
- まず、「漫画の原稿に手を入れられるスキルは、誰もが持っているスキルではない」と認識する
- 自分が居住している都道府県の最低賃金時間額【円】を確認する(参考:厚生労働省HP「地域別最低賃金の全国一覧」)
- ②で確認した金額より多くなるように、アシスタント料金(1時間あたり)を設定する
それでは、①~③について解説していきます。
①まず、「漫画の原稿に手を入れられるスキルは、誰もが持っているスキルではない」と認識する
普段、漫画やイラストを描いていると、同じ分野で活動している人々を見かけたり付き合うようになるので誤解しがちですが、漫画やイラストを描けるスキルというのは、一般的に誰もが持っているスキルではありません。また、教えてもらってすぐお金をいただけるレベルになるスキルでもありません。
漫画やイラストに関して、あなたがこれまでに積み重ねてきた努力は、たとえ自分では「つたない、うまくない」と思っていても、一般の方は持っていない実力であることは間違いありません。まずその点を認識して、ご自分の現状のスキルに自信をもっていただきたいと思います。
技術だけではなく、「私は漫画が好きだ、イラストが好きだ」という情熱があることも重要です。情熱がなければ、作業の途中で投げやりになったり、諦めたりするので、漫画家さんの信頼を失い、お仕事を続けていくことは不可能となるでしょう。
②自分が居住している都道府県の最低賃金時間額【円】を確認する(参考:厚生労働省HP「地域別最低賃金の全国一覧」)
漫画家さんとアシスタントの関係は、会社と社員/アルバイトのような雇用関係ではないことの方が多いので、個人事業主同士であれば労働基準法の対象にならず、1時間あたりのアシスタント料金が最低賃金時間額より下回ったとしても、違反にはなりません。
しかし、最低賃金時間額は把握しておくべき知識です。なぜなら、最低賃金時間額は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定する憲法第25条を考慮されているものだからです。これ以下の料金で働くことについて疑問を持つ感覚を、ぜひ持っていただきたいと思います。
③②で確認した金額より多くなるように、アシスタント料金(1時間あたり)を設定する
最低賃金時間額より多くなるようにアシスタント料金を設定する理由は、「漫画の原稿に手を入れられるスキルは、誰もが持っているスキルではない」という自負(プライド)を持ってほしいからです。
とはいえ、漫画家さんが出版社さんから受け取る原稿料(=掲載料)は、残念ながら多くない傾向にあるため、予算の関係で、最低賃金時間額より少ない金額を提示される場合があります。最低賃金時間額より少ない金額を提示された場合に、了承するか、交渉するか、断るかは個人の状況、考え方によって異なります。
「自分はまだアシスタントの経験がないから、期間を限定して、請け負うことにしよう」と判断することも一つの選択ですし、
「一度この金額で請け負ったら、この漫画家さんには値上げ交渉をしにくくなるから、最低賃金時間額を目安にしていることを伝えて、今交渉してみよう。ダメなら断ろう」という風に、今後のことを見据えて判断する選択肢もあります。
漫画アシスタントは求人にあふれている市場なので、ご自分を安売りしすぎる必要はありません。ご希望の条件を下回らない現場はどこかにありますから、冷静に判断し、断る際も丁寧に受け答えしていきましょう。
ちなみに、漫画家さんからお仕事を請け負う場合の条件のすり合わせは、アシスタント料金だけでなく、お仕事の時間、休日のこと、アシスタント料金の振り込みのタイミング、請求書・領収書を発行する必要の有無、アシスタントのお仕事の宣伝についてなど、様々な決め事がありますので、必要に応じて話し合いをしていただければと思います。
そしてこれは余談ですが、
「未経験なので、タダ働きで良いからアシスタントをさせてほしい」
と漫画家さんにお願いすることは、迷惑になるのでやめましょう。
なぜ迷惑になるかというと、技術を教える漫画家さん自身に労働が発生してしまい、人件費がかかっている状態だからです。
漫画家さんに「タダ働き」させていることに、気づいてください。
(まれに、「多少の絵心があれば、専門的なことはこちらが教えます」と言ってくださる現場もありますが、漫画家さんにご負担がかかっていることを知っておけば、取り組む姿勢にもその後の成長にも、大きな差が出ることでしょう。)
お金をいただける価値をもつスキルを提供できるまで、趣味や独学や教室などでレベルアップをはかることも手です。私のオススメは「アシスタント背景美塾MAEDAX派」です。
他にも、固定費をご自身で支払っている場合はその分も考慮した方がよいですし、ここでお話したアシスタント料金設定の考え方は、あくまで一例です。最終的にはご自分が納得する考え方で、報酬を決めていただけたらと思います。
参考までに、私の料金表が載っているページや、他の方がアシスタント料金についてお話している動画やツイート等もご紹介します。
月15万いくことは滅多にないですけどね。
もうちょっと単行本が出たら印税が増える(と思いたい)、育成枠を増やせるかなと思っているけど、今はこれがギリギリ。基礎の技術指導が必要だと1000円、画力はあれど遅いなら1200円、丸投げできて速さもあるなら1500円、経歴で微調整…な感じで決めてます。
— ぶひぃ@質問はDMで/単行本・電子配信中 (@BUHII_dayo) May 15, 2018
漫画アシスタントの現場の仕事をランク分けしました
今後アシスタントを考えてる人は参考にしてください(アナログ現場です)
売れっ子現場のプロアシは年収1000万超えてる人も珍しくないのでこれはこれで夢があります pic.twitter.com/ZNicFr2x4d— 大塚志郎びわっこ自転車6巻北海道復路編コミック発売中! (@shiro_otsuka) August 1, 2020
はじめに決めた給料を覆してからまた覆す話。(1/3) pic.twitter.com/e5KHpYAbAn
— まいきー 漫画ヘルパー (@tatsuyuki2010) July 7, 2019
漫画の職場でノルマ振られる時はだいたい無理目&オプションで追い討ちも付いてくる話。(1/3) pic.twitter.com/XcTBG1RAvS
— まいきー 漫画ヘルパー (@tatsuyuki2010) July 14, 2019
(※↑漫画のお話は、けっこう昔&かなりのレアケースだそうですが、こういうトラブルが起きるかもしれないと知っておくのは大切だと思うので、ご紹介させていただきました。)
また、漫画アシスタントの多くは個人事業主になるかと思いますので、開業届の出し方や確定申告について私の経験をもとに書いた記事も、ぜひ参考になさってくださいませ。
次回、4記事目は「漫画アシスタントに必要なマインド5つ」です。
新たなご支援者様も募集しておりますので、よろしくお願いいたします。
CM:「漫画アシスタント」について知るきっかけになる本(注:HARDモード)