こんにちは、みけちくわ(@mike_chikuwa)です。
私は現在、漫画アシスタントのお仕事をさせていただいております。
この記事は、いまの私を形成する上で大きな転換点となったアシスタント背景美塾MAEDAX派 という漫画の背景の描き方を教えてくださる教室を紹介しています。
前回は、「アシスタント背景美塾MAEDAX派」で学んだら漫画背景作画への苦手意識がなくなった話。をしました。
3日間で漫画の背景にまつわる悩みが解消されて、背景を楽しんで描けるようになる「初級講座」を受講した時のレポートですので、未読の方はぜひこちらからご覧くださいませ。
今回は、その背景美塾さんで年に1回行われている、背景No.1グランプリ戦「Hi-K1グランプリ」の第1回目の大会にて、プロの漫画家さんやアシスタントさんもエントリーされていた中で、当時、背景のアマチュアだった私が準グランプリ(第2位)を受賞するに至った経験、どんな思考で背景の応募作品を制作していたのかについて、書きました。
戦略的にコンテストに参加することが好きな方はもちろん、
戦略的に考えてコンテストに参加することが苦手な方にも、読んでいただけたら嬉しいです。
「Hi-K1グランプリ」とは?
Hi-K1グランプリ、背景を愛する全ての方へ!
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— アシスタント背景美塾 MAEDAX派 (@haikei_bijuku) 2015年11月13日
Hi-K1グランプリとは、世の中にある漫画を読むなかで「キャラクター」「ストーリー」に比べると なかなか注目されにくい「背景」にフォーカスを当てたイベントです。
背景は、漫画の作品を魅せていくためには必要不可欠なものです。
「ドラえもん」でいえば、野比家、空き地、タイムマシン、時空の時計模様。
「名探偵コナン」でいえば、毛利探偵事務所、喫茶店ポアロ、工藤邸、阿笠博士の車(ビートル)。
私の大好きな「魔法騎士レイアース」でいえば、セフィーロの上空からの景色、沈黙の泉エテルナ、魔神。
これらの絵を見ただけで、作品名を答えることができますよね。
背景には、作品の舞台を築き上げる力があります。
あなたが今好きで読んでいる漫画にも、背景が描かれているはず。
ぜひ、キャラクターの背後に描かれている背景にも注目して、読んでみてください。
きっと、その背景の指示を出した漫画家さん、漫画家さんのイメージを受け取って描き上げたアシスタントさんの、熱いアーティスト魂を感じられると思います。
第1回Hi-K1グランプリ 当時の様子
2014年に行われた第1回Hi-K1グランプリは、予選用と決勝用のテーマがそれぞれ用意され、予選は約1か月間、決勝は約2週間の制作期間が設定され、開催されました。
(現在は、数ヶ月前からテーマが発表され、1作品の応募のみで参加できます。)
予選テーマは『これが私の理想の家』
決勝テーマは『夢のある(or夢のない)50年後の家』でした。
第1回Hi-K1グランプリ 予選作品『これが私の理想の家』
私が予選で描いた作品は、こちらです。
アナログの画材で描いて、提出しました。(原稿サイズ:A4)
お菓子の家を現代の建築物に見立て、3階は仕事場、2階は自分の生活スペース、1階は両親の生活スペース、という設定で描いたものでした。3階ではまだ仕事をしているのですべての部屋に電気がついて、2階は寝室だけ明かりが、1階は完全に就寝している状況を表現しています。
講評は「技術的なことは良いし、モチーフ選びも工夫されているが、理想や憧れの伝わり方が弱い」でした。
自分としては「憧れ」や「夢」でイメージする家を、そのまま描けたつもりでいましたが、見てくださる方に向けての共感は意識していませんでした。
テーマに「私の」となっている以上、独りよがりになる傾向はあるのかもしれませんが、1位になった方の作品は「大きな木にログハウスが建っている絵」で、見る人それぞれが自分を投影しやすい家だったので、納得でした。あおり気味の構図で技術的にも工夫されており、自然な開放感があって素敵でした。
(予選作品の講評は決勝戦の審査中に聞いたので、決勝作品を制作するときは自分の内省だけで挑んでいたことを補足しておきます。)
第1回Hi-K1グランプリ 決勝作品『夢のある(or夢のない)50年後の家』
予選を通過し、決勝で描いた作品はこちらです。
こちらもアナログ画材で描いて、提出しました。(原稿サイズ:B4)
50年後の家ということで、私は夢のある方を選択しました。
講師の先生方の評価とニコ生視聴者の投票で優勝者が決まるので、夢のない方では単純に難易度が上がると考えたからです。個人的な好みでも、夢のある作品の方が描いていて楽しいので。
第1回Hi-K1グランプリ開催当時の2014年は、宇宙で無重力状態を4分間体験する旅行が発表された時期でしたので、「それなら50年後は宇宙に別荘をもつセレブがいても不思議ではないだろう」とアイデアが湧きました。
衛星をモチーフにした建物の各階は予選作品を継承しているので、根本的なところは同じですが、「宇宙に家を」という現実的に手が届きそうな夢の設定は、多くの方の共感を得ることができ、準グランプリをいただくことができました。
当時、ニコ生で私の作品へ投票してくださった皆さま、ありがとうございました。
全力を出してみて、得られたこと
決勝戦の作品のアイディアには自信がありましたから、優勝するつもりで挑んでいましたが、結果としては準ブランプリ。
作画技術だけで考えれば、パースも形の取り方も、ペンの使い方も、トーンの削り方も、背景美塾の各講座で1年~1ヶ月前に、乾いたスポンジが水を吸うように学んだばかりですから、プロも参戦するなかでの2位は大大大大健闘なのですが、悔しさはありました。
「宇宙の別荘」は要素としての共感は得られたものの、予選作品と同様に、ご覧になる方が自分を投影しやすい家ではなく、1位の作品よりは見る人を魅了できていないので、アイデアを魅力的に伝える工夫が足りなかったのだな~と分析して答えを出し、納得しました。
今回の経験で、全力を出すと、全力で結果と向き合えて、結果の内容に関係なく、すがすがしい気持ちになれるという発見がありました。まるで、漫画のような貴重な体験をさせていただきました。
全力を出したうえでの2位。今でも胸を張れる、思い出いっぱいの背景画です。
Hi-K1グランプリの攻略ポイント
- 自分ならではの個性を出す
- 共感を得るために、ネタの面白さの没入から戻り、「作品を俯瞰する視点」をもつ
- 一番魅力的(効果的)に見える構図を追求する
- 自分のもつ最大限の技術を、作品にぶつける
これがHi-K1グランプリ攻略ポイントかなと、今の段階では思っています。
漫画やイラスト制作に通ずるところもあると思うので、制作する上での心構えを深めることもできて、良い経験になりました。
全力でオリジナルの背景に挑む機会は滅多にないので、今後の力作を楽しみに、Hi-K1グランプリを追いかけて見ていきたいです。
ありがとうございました!
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— アシスタント背景美塾 MAEDAX派 (@haikei_bijuku) June 3, 2021
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